ファイル 003 ハダカデバネズミ 〜がんばれ、ビンボー大家族〜
ハダカデバネズミ
どうしてじゃ、どうして長女ちゃんの気持ちをわかってやれんのじゃ!!
ど、どうしたんですか、神様
また神様が「ガンバレ母ちゃん!7男20女!30人の大家族!」をみてるんですよ
神様ってほんと大家族もの好きですよねー
大家族の生き物もいっぱい創造しましたよね!
僕も大家族の生き物みてみたいです!
かわいいー!!いいじゃないですか!これ!
じゃろ、じゃろ!!地下にトンネルをほって大家族で住んでいるのじゃ。みんなでぎゅうぎゅうになって寝るのじゃ!
なるほどー!大家族ですからねー
はー、もふもふがいっぱいじゃぞー。しかも長生きなのじゃ!いっぱいで住んでると家族がいなくなるのはかわいそうじゃからのー
神様って結構優しいですよね〜
ふむふむ、かわいた地面の地下に住む大家族ネズミ?ああ、ハダカデバネズミですね
は、はだかでばねずみ・・・・??
な、なんかものすごい名前ですね
これです
ぎゃーーー!!
な、なんじゃこのグロテスクなのは・・・?
ハダカデバネズミです
たしかに、ハダカ
デバ
ネズミ
名は体を表す・・・
わしのイメージとちがーう!!
いえ!企画書どおりです
かわいた土の中にいっっぱいる大家族とかいてあります。餌のない乾燥地帯の土の中で一体どうやって彼らに生きていけというのか!!
ひーっ
わたくしなりに考えてみました。エサの少ない乾燥地帯の土の中、食べるものと言ったら芋、芋しかありません。芋のみで大家族を養うには仕様をか・な・り、切り詰める必要があります。とりあえず体温保持機能を捨てました。
哺乳類なのに変温動物ー!?
幸い土の中は温度変化が少ないので問題ありません。変温動物になったことで、必要なエネルギーがだいぶ減りました。
家族がぎゅうぎゅうになって寝る!?土の中なのに?酸素ないのにーーー?!
がーん
土の中で汗をかくと不衛生なので毛もなくしました。代謝もへらしました。呼吸数も減らしました。低酸素、高濃度二酸化炭素でも生存可能なように進化させました。
なんか生き物として大事なものをいろいろ捨ててないですか?
しかし、このおかげでなんと長生きになりました!
ハダカデバネズミはガンにならない!
哺乳類は通常、体が小さい生き物ほど寿命が短いのです。しかし、同じサイズのネズミが2-3年の寿命なのに対し、ハダカデバネズミは10倍の20年以上の長生きなのです。長寿の原因は代謝が低いこと、更にガンに耐性があることによるとみられています。
なんと、野生のハダカデバネズミでガンがみつかったことは一度もなく、研究者たちはハダカデバネズミにガンマ線を打ち込んだり腫瘍を移植したり発がん物質を注射してみたりと相当むちゃくちゃな実験をしてみましたがガンになりませんでした。ガンになりづらい原因は、人間に比べて5倍も分子量がでかいヒアルロン酸だといわれています。
あわわ、なんかすごいことになってる
ガン化することが問題となっているiPS細胞ですが、北海道大学と慶応大学の共同研究チームがハダカデバネズミのiPS細胞化に成功しました。その細胞は腫瘍を形成しなかったため、ガンを抑制するメカニズムを研究することでヒトiPS細胞の実用化への道が開けつつあるのです。
哺乳類初の新社会性動物の発見
それでも少ない餌を大家族で分け合うためには、効率的な社会運営が必要となります。同じく土の中で生活するアリを参考に、女王を中心としたヒエラルキー社会を取らせることにしました。
ハダカデバネズミは、脊椎動物の中ではたいへん珍しい真社会性動物*1です。 無脊椎動物ではアリ、ハチ、アブラムシ、テッポウエビの一部などが真社会性動物として知られていますが、脊椎動物の中ではハダカデバネズミと近似種のダマラランドデバネズミのみが真社会性を持っていることがわかっています。
渇いた土の中の大家族ってだけでえらいことになってる・・・
わ、わしがわるかったのじゃーー!!
ハダカデバネズミの階級
ハダカデバネズミの階級は上から順に、1匹の女王。1匹から3匹の王様。多数の兵士たちとさらに多数の働きネズミとにわかれています。女王はまさに大家族のお母さんのように巣を走り回って若いネズミをどやしつけてます。餌が少ないためみんなを働かせないと家族が食べていけないのです。女王がどやしつけると働きネズミは「反省ポーズ」をとり、実際により真面目に働き出すことがわかっています。
王様は女王と交尾するほかは何もしませんが、どんどんやせ細って交代してしまいます。王のストレスはハンパないのです。兵隊ネズミたちは常日頃ごろごろしていますが、天敵のヘビが来た際にはみんなを守るため進んでヘビに食べられることが彼らの役割なのです。ほかには働きネズミがおり、土を掘ったり、餌を探したり、運んだり、小ネズミの世話をしたりします。働きネズミの中にはフトン役というものも存在していて、彼らの主な役割はもっぱら子育て部屋でごろごろ寝ていることです。
なんだかごろごろ寝ている役割のネズミが多いような気がしますが、実はハダカデバネズミは変温性のためトンネル内の温度が低くなってしまうと、体の小さい子ねずみは体温が奪われてしまいます。 そのため、自らフトンとなって小ねずみたちを温めるのが彼らの役割なのです。
フトン、、というか・・・
わしの想像した、ギュウギュウでフワフワでモフモフパラダイスとおおちがいじゃ、、
ハダカデバネズミがみれるのは、国内では、東京上野動物園、埼玉県 こども動物自然公園、静岡県体験型動物園iZoo 長崎県長崎バイオパーク 北海道の円山動物園です。気になった方はみにいってみるのもよいと思います。
う、動いているとなんかかわいい
やっぱり大家族は見ていて楽しいのう
神様の気持ちもちょっとわかります
神様は家族に憧れがあるのかもしれませんね
わし、ずっとひとりじゃったから・・・
神様・・・
でもいまは、地球の生き物みんながわしの家族みたいなもんじゃ
か、神様・・・(うるうる)
いわばわしは地球のビッグダディなわけじゃ!な、美奈子!
私を美奈子と呼ぶのはやめてください
参考文献
*1:真社会性動物とは、親と子少なくとも二世代が同居した階級社会を構成し、中でもコドモを生まない階級が存在する動物のことをさします。